これから家づくりをはじめる方に知っていただきたい豆知識や、日々のブログを随時発信していきます。
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セミナーに参加して思ったこと
セミナーに参加しました。
昨年施工した現場で使用した、外壁の通気工法用の換気部材のメーカーで
「日本住環境株式会社」
というメーカーがあります。換気部材の検討の時に営業の方にサンプルを送付いただいたりしたためか、今回セミナーの案内をいただきました。こちらの会社は、気密用の部材や換気部材などを取り扱っているメーカーです。
換気関係のメーカーさんは研究熱心な会社が多いためか、ちょっと面白いセミナーや講習会が開催されます。いつも「へぇ!」と思うことがいくつもあり、とても勉強になるので、時間があれば参加するようにしています。(もちろん製品のコマーシャルは必ずありますが)
セミナーの内容は「24時間換気システムのメンテナンスとエネルギー」ということで、簡単に言うと換気扇をちゃんと掃除しないと換気効率が悪くなり電気の消費量は少しだけ減るけど、室内環境が悪くなるため「比消費電力」→1㎥/hの空気を搬送するのに必要な消費電力 が大きくなってしまって結局省エネにならないですという話なんですが、分かりにくいですね。
つまり、ちゃんと換気扇を掃除しないと省エネにならないよ。
という至極まっとうなお話しでした。
話の中で特に印象的だったのは、セミナーの始めに挨拶をされた日本住環境株式会社の社長が
「住宅には自動車の車検にあたる制度がありません」
と言われたのですが、講師である田島先生も度々そのようなお話しをされており、そのために起こってしまう不具合が色々あるんだということです。
建物は、建つまでが「国土交通省」建った後の室内環境に関しては「厚生労働省」の管轄になります。厚生労働省はこのような立法案を過去に提出しているようですが、住宅自体が個人の持ち物なので、そこまで踏み込むのは・・・ということで立ち消えになったそうです。
自動車の場合は、個人の持ち物でも公道を走るものなので、車検で車体の安全性を最低限キープしましょうということですね。
建物の換気については、建材から発散されるVOC(揮発性有機化合物)が原因のアレルギーが問題となり、「クロルピリホス」を含まないことや、「ホルムアルデヒド」の発散量を表示する(F☆☆☆☆など)ことなどが建築基準法に盛り込まれました。平成15年7月1日に施行された改正建築基準法です。
気を付けなくてはいけないのは、その他のVOCについては特に表示の義務付けがあるわけではないということです。F☆☆☆☆だからと言って、安全だとはかぎりません。建物の室内は、建材だけでなく、持ち込まれた家具などもあります。そのために24時間換気をして、有害物質を外に出しましょうということですね。
この法律は施行からもう14年以上もたちます。すっかり定着している感じがしますが、実際は冬に寒いからとスイッチを切ってしまったり、換気扇の掃除がされておらず、せっかくの換気扇が全く機能していない場合もあります。
住宅には車の車検制度にあたる経年変化の検査制度がないため、新築時の性能が確保されているのかどうかは、住まい手に任されている状態です。
新築時も換気量の測定まできちんと行っているところはかなり少ないと思います。弊社もご案内はいたしますが、お客様からの依頼が無い限り特に行っておりません。
私はこのような住宅の検査制度は出来た方が良いと思っています。
まず、長期優良住宅などの税制優遇のある建物の優遇を強化して、完成時にもたとえば換気量の検査等をキチンと行い、5年ごと位で様々な項目について検査を行って住宅の性能を確保することがとても大切だと考えます。そうでないと、「長期優良住宅」にならないと思います。
キチンとメンテナンスをすれば、住宅の資産価値が上がることが当たり前になれば良いと思っています。
その一方で、現在の一般的な木造住宅作り方で本当に「長期優良住宅」になるのか、疑問に思う点もいくつかあります。
それはまた次回に。
2017/12/06