これから家づくりをはじめる方に知っていただきたい豆知識や、日々のブログを随時発信していきます。
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気づくこと。分かること。 気づかないこと。分からないこと。
毎日慌ただしく過ごしていると、なんと言いますか・・・。思考が固まっているなぁと思うことがあります。もっと大きく広く見渡したいのに、目の前の事でいっぱいいっぱいになってしまうのです。
これは良くないねぇ・・・
と思い、以前から気になっていた佐藤雅彦先生の本を購入しました。
佐藤雅彦先生を知ったのは、息子が保育園の頃に大好きでよく見ていたEテレの「ピタゴラスイッチ」でした。
小さなお子さんがおみえになる方はご存知だと思いますが、身近にある紙コップや定規や積み木などを使って組み立てられた「装置」の中をビー玉やボール等が転がりながら色々なからくりが展開されていきます。非常に緻密に考えられた複雑な装置で、ドミノを立体的に発展させた感じです。
次々に展開して行くからくりに目を見張り、終点でピタッと決まる爽快感にはまってしまいまして、「こんな面白いものを作っているのは誰?!」で調べたら、佐藤先生でした。
「新しい分かり方」 中央公論社
「考えの整頓」 暮らしの手帳社
「プチ哲学」 中央公論社
の3冊です。「新しい分かり方」と「プチ哲学」は、写真やイラストで事象を見せて、「こういうことだよね」と解説があります。写真やイラストを見た時に感じる「ちょっと面白い」とか、「そうそう!」と感じていても言語として意識しないものをキッチリと言葉にして説明されています。
自分の頭の中のことなのに、「こういう風に私は理解したからあの時(ちょっと面白い!)とか(そうそう!)の感じ方をしたんだ!」と改めて分かるというなんとも不思議な体験です。
「考えの整頓」は暮らしの手帳に連載されたエッセイをまとめたものです。こちらも佐藤先生が気付いた様々なことをご自身の頭の中をゆっくりめぐって考えをまとめていく過程が読めてとても面白いです。先生自身が引っかかる暮らしの中の「あっ!これ!」の部分がとても共感できます。また、こんな風に見てもいいんだ!考えてもいいんだ!と、気付きもたくさんありました。
様々な表現で色々な「物の見かた」や「分かりかた」を見せてもらい、ちょっとと言いますか、とても頭がリセットされた気分になりました(^^♪
毎日の設計業務で気を付けているのは実は「気付かないこと」や「分からないこと」です。特に住宅は、使う人が意識せずに自然に建物の中で暮らせることが大切だと思っています。
寒さや暑さ,人の動きなどは特に「寒くない」「暑くない」「スムーズ」であることが当たり前であって欲しい。
注文住宅である場合は特に、自分自身の考え方のみにとらわれず、使う方の今までの暮らし方や考え方、それがたとえ私自身の考え方と違っても、それが当たり前で生活されてきた方にとってはその部分を尊重しなければ、その人にとっての当たり前な暮らしができなくなってしまう。
だから、常に色々な方向から物事を見ること,俯瞰的な視線を持つことを心がけていこうと日々意識しています。
建築は、俯瞰で見て考えることと、空間の箱を積み上げることを同時進行させることだと思っています。佐藤先生の3冊の本は「目線を上げて、廻りを見渡すと色々見えるよ」と教えてくれたようでした。
3冊ともとても楽しい本です。本屋さんで見かけたら、是非手に取って見てみてください(^^)/
2017/12/02